
For The Kingは、ヘックス型マップとコマンド型戦闘のファンタジー系ローグライクRPG。アクション性はまったく、テーブルトークRPGを元にしたという制作の言葉通り、マップ上でのイベントも戦闘も、選択肢と確率で結果が決まっていく。
ストーリーはシナリオによって多少変わるが、基本的には、王が倒されて混沌が押し寄せる世界で、3人の村人が勇者となって世界を救うたびに出る、というお話。
複数のクラス(といっても最初は4種類のみ)から3人を選んで冒険がはじまる。ヘックスのマップは毎回ランダムに生成され、その大部分は雲で見えないか、見えていても「?」となっていて何があるかわからない。隠れている部分の近くに移動すると何があるか明らかになっていく。マップ自体ランダム生成だが、それ以外に一度通行した場所でもランダムにイベントが発生する。また敵の出現箇所も当然ランダムで、昼夜で敵の位置が入れ替わったり、移動中に突然敵の待ち伏せ攻撃を受けることもある。
マップ上で発生するイベントには、腕力、知力、器用さ、などの属性があり、その属性のダイスロールで成功判定がなされる。各キャラクターの属性はステータスと装備によって決まり、該当する属性値が高ければ当然成功の可能性も高くなる。スキルによっては成功判定のダイスの数を減らすなど、判定を有利にするものもある。そのため、それぞれのキャラで別々の属性を伸ばして、様々な局面に対応できるようにすることで、ゲームを有利に進められるようになる。
また、イベントの判定には多くの場合、成功率や失敗した場合のデメリットも表示されているので、無理そうだったりデメリットが大きければ「無視する」という選択もできる。
さらに、判定時にFocusポイントを使って、強制的に成功させるという方法もある。これを使えば、どんなに苦手な分野でも成功率を上げたり、100%にしたりすることができる。ここぞという場面や、デメリットが大きくてどうしても失敗したくないときには、上手にFocusポイントを使って成功を手に入れるべし。
そういうわけで、マップ上をウロウロしていれば様々なイベントが起き、アイテムを入手したりレベルを上げたりできるわけだが、そうそうのんびりもしていられない。シナリオにもよるが、基本的にはカオスメーターというものがあり、ターン終了とともにカオスが増加していく。イベントやクエストでカオスを消し去りながら、手早く探索を進めないと、カオスが増大して様々なペナルティを食らうことになる。
戦闘は、マップ上に配置された敵のマスに移動することで開始される。このとき、戦闘の範囲が赤く表示され、その範囲内にいる敵味方最大3人ずつが戦闘に参加することになる。マップ上で敵が密集している場合は敵の数が増え、また自キャラが散らばって行動していれば味方の数が減る。当然数が多い方が強いので、敵味方の位置を考えながら戦闘を開始することで、戦闘を有利に進めることができる。
戦闘は装備している武器によって行われるが、これもまた乱数。武器ごとに属性があり、キャラにあった武器を装備することで攻撃の成功率が増す。また武器によって技や能力、乱数のダイスの数が異なるため、単純に攻撃力が強いものが良いというわけではない。武器の他に、頭、体、腕、足など細かい装備があり、それぞれによって防御力やステータスをアップしていく。武器や防具の性能によって戦いやすさもかなり変わってくる。お店での売買もできるので、良品があれば入手しておきたい。
グラフィックスはコミカル調の3Dキャラで、ボードゲームっぽい雰囲気に合っている。なお、男キャラはみんな髭が生えている。敵を倒したときにぐったりと倒れていく感じが良い。
コマンド式のローグライクRPGなのだが、なぜかマルチプレイに対応している。マルチでプレイしたことはないのだが、各キャラをそれぞれのプレイヤーが操作するらしい。どんなプレイ感になるのか想像できない。
ローグライクであるのに加え、ゲームモードが6つとキャラクタークラスもそこそこあるので、組み合わせを変えて挑戦することで新しい感覚で遊べる。しかしイベントなどのバリエーションはそこまで多くないので、何度かやっていると見たことのあるイベントばかりになってしまうかもしれない。武器や装備も、自分なりの鉄板のものが決まってしまうと、「それを見つけ出す」ことがメインになってしまう感がある。このあたりはローグライクの難しいところだろう。
ローグライクとテーブルトークとコマンド式RPGという、ありそうであまりなかったタイプの新鮮なゲームだ。乱数がメインなので運に左右されることは多いが、その運もプレイヤーがある程度コントロールできるような作りになっている。へたにサイコロやルーレットが出てこないのも、展開が早くなるし、理不尽な感じを覚えなくて良い。
ひとつ残念なのが、日本語に対応していないこと。とてもよくできたゲームで、日本での受けも良さそうなのに、日本語対応されていない。冒険がメインのゲームなので、アドベンチャーパートがわかりづらいのはもったいない。噂では日本語対応の計画もあるとのことなので、ぜひ早期に対応して欲しい。







